Works(作品情報)

制作過程紹介〜黄金背景テンペラ画作業のながれ〜

石膏下地作り

写真1写真2写真3写真4写真5
1. シナベニヤの板に膠液(兎膠1:水12)を2層ほど塗り、1日ほど置き乾燥させます。(写真1)
2. 温度が40度くらいの膠液にボローニャ石膏をゆっくりと少しづつ、水面いっぱいまで振り入れ石膏液を作ります。(写真2)
3. 麻布または寒冷紗を膠液で張り込んだ板に石膏液を一定方向にぬっていきます。
4. 塗った面が完全に乾く前(濡れ色)に次の層を前回と垂直な方向に塗ります。
5 表面に気泡が出来ないよう気を付けながら10〜12層ほど塗ります。
6. 通気の良い場所で3日間以上乾かします。(写真3)
7. 乾いた石膏下地の表面を木炭で汚し、削り鋼パネルでつるつる真白な平らになるまで表面を削ります。(これがなかなか大変な作業。SMサイズを初めての人で1時間以上かかる場合も)(写真4)
8. 原寸大下図(カルトン)を石膏地に転写します。(写真5)

黄金背景の金箔はり&メノウ磨き

写真6写真7写真8写真9写真10
写真11写真12
1. 金箔地となる部分に金箔の寝床となるボーロを2〜3層塗ります。乾いたら軽くヤスリをかけま す。(写真6) 
2. 金箔は箔盤の上で箔ナイフを使い慎重に切ります。(箔はすごーく薄く脆いので室内は無風状 態にします。くしゃみや咳きもガマン!)(写真7)
3. ボーロをぬった部分に水(水+無水エタノール)をのせ箔バケで金箔をはっていきます。 (写真8と9)
4. 立て掛けて乾かします。(写真10)
5 綿押さえをし、完全に乾いた所からメノウ棒で磨いていきます。(写真11と12)

金地に刻印 線入れ

写真13写真14

背景の金地に刻印の模様などを入れます。色々な形の刻印棒があります。(写真13、14)

彩色

写真15写真16写真17写真18
1. 絵の部分にはみ出てしまった箔は、綿棒にオックスギャルを付けて取り除きます。(写真15)
2. 卵の黄身と酢を混ぜ卵黄メディウムをつくります。(写真16)
3. テンペラ絵具は粉末の顔料で色々なメーカーから発売されています。(写真17)
4. 顔料は水で良く練り、メディウムを混ぜて着彩していきます。あとはひたすら、完成に向けハッチング技法で彩色。(写真18)

◎以上、おおまかな作業の流れです。記述を中略している部分もあります。

瑪瑙棒や箔盤、ハケ、ナイフ、練り棒、コンパスなど古典技法に必要な道具はイタリア、フィレンツェにある「ZECCHI」で購入できます。

1400年頃に書かれた技法書「絵画術の書」チェンニーノ・チェンニーニ著にて詳細が記述されています。